異世界のアフレクションネクロマンサー113
「戦争なんですよ!?どっちかが滅んで、どっちかが生き残って……そんな命懸けの戦いで間引きとか!!それに、あれは予期せぬ奇襲だったんです!!囮にされたと言っても、取り残されてしまった結果なんです!!」
リーフは反論をしようとするが、何と言えば反論になるのか分からず、さっき言った事を繰り返してしまう。
その時点で、自分達が家畜では無いという反論が、出来ない事を露呈させてしっているのだが、
「そうだな……リーフの言う通り、戦争を使って間引きするというのは少々手間じゃないかい?戦争が終わった後にでも、我々を処刑すれば事は済む気がするが?」
「お父様……!!」
リーフのした精一杯の、子供の反論をフレンが引用して礼人を問う。
もう、父もアフレクションネクロマンサー様と一緒な考えをしていると思っていたリーフには、渡りに舟で、父が反論してくれるなら、アフレクションネクロマンサー様も考えを改めてくれると淡い希望を持つが、
「…………それをしたら反乱しますよね?そうなれば、いくら巨力無比な機銃車や戦車があると言えど、数の暴力によって本国の人達にも被害が出ます。そのヘイトを買わないようにリザードマン達に恨みを買わせて、故郷のみんなを守って死んで逝ったという名誉が与えられれば、反乱しよとも思わず、戦争だからって納得も出来るでしょ?」
「……そうだな」
まるで、全てを暗く包み込む闇夜の中で、闇夜に浮かんで淡く光っていた小さな蛍が、握り締められて光が失せて、残されたのが見るも無残なカスになってしまったかのように、一瞬で淡い希望は、礼人に容赦無くゴミにされる。
礼人の手の中で、ゴミカスとなった希望を、うつろ気な目で見ながら、
「……じゃあ…私達は…ニードゥス様に騙されているんですか……?」
リーフは弱々しい質問をする。
反論する事が絶望を呼ぶと知ったリーフは、ただ、何が起きているのかを聞こうとしただけなのだが、
「それは、核心を突く質問です」
礼人も、この次に出そうとしていた程に、重要な質問であった。
「そうなんです。今の話だけを聞けば、ニードゥスさんは私達を騙そうとしていたように聞こえるかもしれませんが、ニードゥスさんは決して嘘は言っていません」
「君がそう言ってくれるのは在り難い、ニードゥス様がそのような事を考えているとは思えない」
礼人の口から出て来た、唯一の希望。
内心ではこの話を切り上げたいと思う程に重苦しく、それでも耐えなければならない状況での希望は、窒息寸前から息をするような心地良さがあったが、
「嘘は言っていませんが、真実は黙り続けていましたね」
窒息寸前で吸い込んだ空気は淀んでいた。




