異世界のアフレクションネクロマンサー110
戦場で実際に兵器を運用した一級品の兵士達が反乱したとなれば、本国でのうのうと生きていた者達が、同じ兵器を使って対抗しても太刀打ち出来るものでは無い。
そう考えれば車を、機銃車という兵器を使わせないというのは、
「腑に落ちない……」
理屈としては間違ってはいないが、礼人の中の答えとしては間違っていた。
リーフ達の置かれている状況を、良いように扱われているだけなら表題は「ペット」で終わっていただろうが、そこに「殺し」という文字が入っている。
「……殺し」
「殺し」それは命を奪う行為。
確かに、兵器を貸し出さないで戦わせるのは、命を奪う行為かもしれないが、それは「殺し」というよりかは「死なせる」行為。
ニュアンスは近いが、「死なせる」という行為が間接的なら「殺し」は直接……
「直接……殺す?」
その言葉を言った瞬間、目が揺れて視界が歪む。
頭の中で火花が散って、今までの事が次々に燃えて脳の中が活性化すると、
(殺意があったら…殺意があったら、あの兵器をどう使う?)
ぶつぶつと声を出していたのを止めて、口をつぐむ。
ふつふつと燃え上がる脳が出そうとしている答えを、間違っても口にしないように、口を抑える。
(あの銃口を…リーフ達に向けて……)
そんなのは的外れな考えだ。
リーフ達は本国にとっては、貴重な戦力で……
(それは、機銃車で解決する)
だったら…だったら……
(本当に……リザードマン達を殺すだけでマナは事足りるのか?)
止めろ……
(答えは出ただろ?目の前にいるのは、マナを無駄に消費する……ゴミだ)
ふざけるな!!
頭の中で勝手に出されていく答えに、怒りの感情が溢れ出て目が見開き、瞳が強く揺れた時、
「整理が終わったんだね」
フレンは、礼人の挙動を見逃さなかった。
「教えてくれ」
「…………」
「約束だ…言うんだ!!」
強い口調で、礼人を問い詰めるのは、彼が辿り着いた残酷な答えを無理にでも聞き出す為。




