異世界のアフレクションネクロマンサー109
「それは、どういう考えで出て来た言葉なんだい?」
「…少し整理させて貰えませんか?」
あくまでも礼人は自分が見た物で、感じた事を言葉にしただけであって、思っている事を完全に形にしている訳では無いが、心のどこかでは何かに気付いているのだ。
礼人は、口の前で両手を合わせ、フレンとリーフに見えないように口を覆うと、小さな声でボソボソと自分の心の中にある物を外に出して整理を始める。
「あの兵器を使わせたくない理由を推測するなら……自分達だけであの技術を独占して優雅に使いたい……」
これに付いては、的外れだと思う。
貴族の態度だけを見ていたら、その可能性も否定しきれなかったが、塔の人や案内人、ニードゥスと出会って分かったのは、単なる差別主義だけで回っている世界では無い事。
本国では、政治的な腹の探り合いが行われているのだから、ここで思い浮かべるべき発想は……
「ニードゥスさんに…手柄を立てさせたくないから?」
さっきの答えよりかはマシであるが、これも間違いであろう。
ニードゥスの、一度も戦場で使った事が無いという言葉を信じるのなら、あの兵器は、どの派閥でも自分達が統括する街の者達に渡しもしなければ、見せた事も無いはず。
となると、それは手柄をどうのこうのではなく、車を街の者達に教えないというのは暗黙の了解である可能背が高い。
「だとしたら……」
ここから導かれる答え。
街の者達に車を使わせたくないのは、自分達で独占したいからでは無く、自分達の利権というよりかは、
「反乱されたくないから……」
それの答えは至極全うな答えであった。
戦車に機銃車、あれを使って戦争するというのなら間違い無く、戦場に赴く街の者達に渡して使わせなければならない。
しかし、その行いは諸刃の剣。
協力無比な兵器を渡し、その価値を知ってしまったペット達が、戦争に勝ったとして従順に返すであろうか?
いや、間違い無く渡された兵器を奪って、反乱を企てる者達が現れるに決まっている。




