夢の中66
胸が…胸が熱くなればなるほどに嫌な予感がする。
「もう亡骸となる二月さんから貰った霊力はほんの少しだったにも関わらず、あなたはほんの少しの霊力で強大な霊力を発現させてみせた……素晴らしい才能ですよ!!なにせ、今している事は秘術中の秘術…」
アフレクションネクロマンサー…その訳の分からない単語に、理解し難い話の羅列……高まっていた熱が心臓を中心に集まると礼人の体は、
「アナタの器は英雄に匹敵する者になったのです!!長い年月、人工的にアフレクションネクロマンサーを作ろうとして出来なかったことを出来るんですから!!」
まるで、体を撃ち抜くような衝撃が襲うと、体が電気ショックを受けたかのようにビクンッ!!と跳ねるのであった。
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鋼鉄の巨人は吹き飛ばされた頭を修復し、自分の足元に続く足跡を見て、
(所詮はこの世界で生まれた者か……)
血筋は自分達の世界とはいえ、住めば都……生まれたのがこちらの世界では、こちらの世界の味方をするのは仕方の無い事なのだろう。
気持ちは分からないではないが、この世界に来た者達は我々の事を忘れ、幸せになって使命を伝えていくの疎かにしていったというのなら、少し落胆もしてしまう。
無理にでも洗脳しようとしたのはあながち間違いでは無かったが、少し詰めが甘かったのかもしれないが、
(とにかく始末をするか……)
これ以上詰めを甘くするつもりはない。
自分の周りにいる者達を消して、先程の二人を探しに行くことを優先する。
これは弱者をいたぶる行為ではない、これは争いなのだ。
身動きの取れない相手でも、生かせば後々面倒な敵になる。
一人の者に狙いを付けて近付くと、
「…覚えていろ……仲間がお前を殺す………」
弱々しい声であったが、それでも睨み付けくる敵。
(分かっている……)
アフレクションネクロマンサーを探しに来たこの身……決して元の世界に戻れるとは思っていない。
あくまでもアフレクションネクロマンサーを探して、それをこの世界の同胞に託すのが使命……もしかしたら、運が良ければアフレクションネクロマンサーを見つけ出して元の世界に戻る可能性もあるのかもしれないが、
(いつかは私達も逆の立場になって討ち取られるのは覚悟は出来ている……)
そのか細い希望は、朽ち果てるという絶望の闇を照らすほどの可能性など無い。




