異世界のアフレクションネクロマンサー108
「リーフさん…ごめんなさい」
前々から、自分達の扱いが悪いのをフレンは感じていたからこそ、本国と街の違いを率直な意見で聞く覚悟もあるかもしれないが、
「あの……アフレクションネクロマンサー様。先代のアフレクションネクロマンサー様が、奴隷解放戦線で戦って下さったお陰で、私達は……」
「そうだな…奴隷では無くなって、ペットに格上げされたという事だな」
「……そんなの…辛い……」
リーフには、受け入れがたい事実。
リーフだって、自分達の扱いの悪さに付いては心の底では気付いているが、それを肯定してしまったら、アフレクションネクロマンサー様が言うように自分達は本国のペットに過ぎない。
必死になって、戦争だから仕方無いと、同胞の為に矢面に立って命を捧げて死んで逝った者達が報われない。
「リーフさん…例えばだけど、戦場を物資を運ぶ時には、オークのみんなが荷台を引っ張るんだよね?」
「そうしないと…運べないじゃない……」
うつむいて、自分のスカートを握り締めるリーフ。
それは、現実を聞きたくないという気持ちがありながらも、話を聞かなければと、手が耳を塞がないように我慢するためにスカートを握り締める。
そんな健気に耐えるリーフに、礼人がしてあげられる事は、
「その場合、拠点まで物資を運ぶのに数日から数週間は掛かるよね?でも、あの車を使えば一日、二日で物資を運ぶのだって出来るんだよ」
優しい口調で、リーフの首を真綿で締め上げること。
「……本国の方の乗り物を使う何て考えられません……結局は物資は運べるのですから良いじゃないですか……」
「ニードゥスさん達は、車の価値に気付いている。だから機銃車という、重たい武器を運べる車だって作ってるんだ」
「でも、それを戦場で使わないのはマナが足りないから……」
「うぅん、僕が本国の指導者なら輸送車……物資を運ぶための車をすぐにでも配備する。そうすれば、リザードマンを一方的に追い立てて、リザードマンを殺した分だけマナが浮く……それなのに、車を使わせないのは……」
「ざっと言えば、我々に車を使わせたくないんだな……例え、我々に犠牲者が出たとしても」
「はい」
これが、礼人の言った「飼い殺し」の意味。
本来の「役に立たなくなった家畜を死ぬまで飼う」や「本人の能力を十分生かせないようにする事」とは違う、文字通り「飼っているペットを殺す」という事。




