異世界のアフレクションネクロマンサー107
「そうですね……百年時代が違うんです」
「百年時代が違う?」
百年の違い、時代が違う……それをいきなり言われた所で、現在を生きている者達がピンと来ないのも無理も無い。
本国の世界と、自分達の世界は違うというのは肌で感じ、それを自分達よりも良い暮らしをしているという風に解釈して、フレンは差別という形で感じていたのだろう。
その感覚は素晴らしいが、それを文化の違い……文化を、文明を制限されているという発想が出来なかったのは、
「リーフさん。車を見た時どう思いましたか?」
「えっ…貴族の皆様は、凄い物をお持ちで……」
「建物は?」
「……センスが…芸術家の方が建築されているのかなって」
リーフの喋り方でも分かるが、本国に対して遠慮した物言いで、どれも肯定的な発言で、飼い慣らされているのが原因だ。
「アフレクションネクロマンサー様。言いにくくて、表現しにくいのかもしれないが、もう少し分かりやすく、遠慮無く現実を言って貰いたい」
「……そうですよね。自分でも整理が付いてなくて」
この残酷な現実……この現実を、二人が傷付かないように、どう表現したら良いのか迷ったが、
「フレンさん達は……飼い殺しにされていると言っても、過言ではないんです」
「飼い殺し?」
「飼い殺し……?飼い殺しってどういう意味なんですか?」
礼人の中での話の表題として選んだのは「飼い殺し」
これからする話をオブラートに包んで、優しく伝えるべきではないと腹を括り、
「皆さんはペットです。外飼いされているペットと一緒で、街は小屋……本国という、家具や嗜好品が溢れる家があるのに、ただただ雨風をしのぐだけの小屋を与えられて、それを当たり前だと思っているペットです」
「アフレクションネクロマンサー様…なんで……そんな酷い事を言われるんですか?」
礼人だって、リーフ達に向かってあなた達の立場はペットだなんて酷い言い方はしたくなかったが、それが現実のなのだ。
リーフは突然の、ペットという言葉にどう受け止めたら良いのか分からず、酷い物言いをした礼人を責めてしまうが、
「止めなさいリーフ……アフレクションネクロマンサー様、現実を突き付けて下さい」
フレンは、礼人の言葉を神妙な面持ちで受け入れる。




