異世界のアフレクションネクロマンサー103
子供の喧嘩と例えたが、実情は国の中枢を司らせている者達が、国の在り方や方向性を争っている。
上の者だって、ある程度はどのように国を導いて行こうかとビジョンを持っているはずなのだが、どちらかに加担するようなマネを一切しない……我々は彼等の手の上で踊っている。
好きなだけ、好きなように……手の上で踊らせる。
手の上で線を描くようにちょこちょこと、こそばゆく踊ろうとも許し、手の上をカタカタと鳴らしてタップダンスを踊っても、気にも留めずに許し続ける。
許し続けて…気に留めないで……不気味で仕方無い。
「上の方々に言えるのは、私にも向こう側の派閥にも、あまり興味を持たれていない。上の方々が加担して来て悪い方向に進む事は無い……それだけが、私から言える事だ」
「そうですか……」
ニードゥスに答えて貰えたのは、これだけだったが礼人にも良く理解出来た。
全てを統括するのはニードゥスでは無い事、決して触れてはいけないアンタッチャブルが存在する事。
「さぁ、行こう。私には私の、君達には君達のやる事がある」
これ以上の事を話し合っても何も進まないと、展望を後にするのであった。
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フレン達を案内人に送らせた後、執務室に戻ったニードゥスは椅子の背もたれに背中を預けて、疲れを抜くために一息吐いた。
会議に行くまでの時間、自分の執務室で一人きりの時間を使って、今度は一息付いて休みたい所ではあるが、
「上の方々か……」
自分しかいない貴重な時間……けれど、頭にはあの方々がいる。
「リミィ……」
一か所だけ、壁の色が違う所を見つめる。
あそこには、リミィが描かれていた小さな絵を飾っていた。
飾っていたが、その絵を取り外さないといけなくなった理由は、リミィが離反した際に、上の方々が訪問して来て、リミィの絵を見た途端に、
「ふぅん……」
我々に対してあまり感情を見せないのに、リミィにはあからさまに反応して見せたからだ。
「申し訳ございません……まさか、私の執務室に足を運ばれると思っておらず。他の事に尽力を尽くしていたので、裏切者の絵を取り外すのを後にしてしまいました」
その時は、さすがのニードゥスも顔から汗を吹き出し、言い訳をするので手一杯であった。




