異世界のアフレクションネクロマンサー97
「えっ!?」
「リーフ!!」
ニードゥスの戦場に行けと言う命令に逆らう訳では無いが、戦場から帰って来て一週間位しか経っていないのに、再び戦場に行けという命令で、リーフは目を大きく見開いて驚いて声を漏らしてしまうと、フレンが漏らした驚きを窘めるが、
「良いんだよフレン君。約束を破っているのは私の方なのだから……誰であっても、命からがら帰還出来たのに、すぐに戦場に行けと言われて納得出来る訳がない」
ニードゥスは、自分の出している命令が、不満を持たれて当たり前の行為だと言って、リーフの見せた僅かな不満を咎めるようなマネをしない。
これは取り決めで、戦場に出るのは三ヶ月、残りの九ヶ月は街で、次の戦場に備えながら静かに暮らす事が出来るのに、それを早められて、戦場で受けた身体的傷も、精神的な傷も癒え切っていない状態で、物資に兵士と必要な物を送るからと言われても、士気が上がるはずも無い。
本来なら、現在戦場に出ている者達が拠点を奪還し、赤い液体を回収すれば良いだけの話なのだが、
「私が、君を将軍に推薦したばかりに苦労を掛けさせてしまう」
他の派閥を黙らせるには、推薦してしまったフレンが活躍する事が必要不可欠。
「気休めにならないのは分かっているが、今の戦場を担当しているサレックス君には、君が将軍になること、拠点奪還の任を伝える伝令を飛ばしてある」
「サレックスが事情を知ってくれているのは、ありがたいです」
サレックス、彼はプロペト街を任されている領主で、月替わりの際の引継ぎで何度も顔を合わせているから交友がある。
「赤い液体に付いて知っている街の者は、私の息の掛かっている者ならサレックス君と君達だけだ」
「他の派閥の、街の領主達も知っているんですね」
「間違い無く知っているだろうが、今回の赤い液体の確保は何も私達だけが知っている情報ではない。我々が手にした所で秘匿にするつもりも無く、他の派閥も合わせて共有する。だから、邪魔をしてくる心配は無い」
それは、ニードゥスに追い風が吹いていた。
リミィはいくつかあった旧街の中で、ニードゥスなら赤い液体を量産出来るようにするまでは、手心を加えてくれるだろうとニードゥスが担当する領地側に逃げ出していた。




