異世界のアフレクションネクロマンサー96
残された貴重なマナを消費せずに、世界中に広がりつつある赤いモノを処理出来る……リミィが遺した技術は、まさに喉から手が出る程に欲する価値ある技術なのだが、
「この世界の為にも、赤い液体を手にしないといけませんね」
礼人の心は冷え切って、自分の思った事を喉で止めて口から出まかせを言う。
本当は突き付けたい言葉があるのだが、それをぶちまけたらフレンとリーフだけじゃなく、
「もう良いのかね?」
「えぇ、もう十分に分かりました」
街にいるビレーさん達にも危機が迫るかもしれない。
自分一人の命を賭けるならまだしも、みんなの命をチップに賭けて聞き出したい情報ではない。
「うむ…そうかね」
ニードゥスは、アフレクションネクロマンサーがここで引いたのは、自分に従順とまでは言わないが逆らう気が無いのを認め、
「君には、是非とも協力して欲しい。アフレクションネクロマンサーがいてくれさえすれば、街にいる者達の士気も上がると言うものだ」
「十分に分かりました」という言葉に免じて、強い言葉を使うのではなく「街にいる者達」という手札を見せるだけで済ますが、
「尽力します……」
ニードゥスの見せた手札の絵柄には、礼人は描かれていなかったが、リーフやフレン、街にいる人達が描かれているのを見せられては、気分が良いものではない。
ニードゥスの切る札として扱われる街の人達。
それは、良く考えればニードゥスの庇護の元にいるという事になるが、
「それで、フレン君。時間が差し迫っているこの状況では、すぐにでも兵器を運用しなければならない。街に帰り次第、すぐに前線拠点に行ってくれ。必要な物資と兵士はすぐに送る」
ニードゥスの気持ち一つで、その手札は好き勝手に使われて、逆らったりすればビリビリに破り捨て去られてしまう。




