異世界のアフレクションネクロマンサー94
少年は、アフレクションネクロマンサーの成功体ではあるのだろうが、
「だが、リミィが作った穢れを赤い液体にする技術なら燃料問題と、現地で燃料を確保する問題が一気に解決する」
偶然の産物であり、量産出来る代物ではない。
偶然に産まれたが故に、ちぐはぐな面があり、成功体ではあるが完全体では無い……
「…………」
「そんな怖い目をしないでくれ給え。これからは、一方的な戦争になるだろうが、それは悪い事では無いはずだ。リザードマンとて同じ兵器を手にしていたら、容赦無く使う」
人工アフレクションネクロマンサーの量産という、戦争の行く末をかき乱す脅威が無いというのなら、
「それに赤い液体の価値は、何も戦争の道具だけでは無いと君は分かっているはずだ」
例え、リミィが呼んだアフレクションネクロマンサーであろうと、こちらの手元にいる限りはこちらで活用させて貰う。
ニードゥスは、見定め終わったアフレクションネクロマンサーからフレン達の方に視線を変えた。
「ここにリザードマンがいるのは、君にとって不服であったろうが」
「いえ、事情は分かりました……」
望遠鏡の中で行われたのは処刑では無い、あの兵器を戦場で使う為の訓練……あのリザードマンはたんなる的であり、人権を持つ者が処刑されるのとは話が違う。
逆を言えば、反逆者と言ってオークを連れて来て的にされないだけ、まだ良心がある。
「分かってくれて助かる……所で君達に聞きたいのだが、最近のマナの質はどうかね?」
ここでの途端に変わる話にフレンは険しくしていた表情を戻し、リーフは自分にも話を振られた事に目を丸くし、
「……あまり良い質ではありません。そのせいで戦場では、マナを摂取するのと同時に穢れを吸い込んで、そのまま病に伏せる者が後を絶ちません」
「それに、前よりも薄い感じがします」
フレンは現状で自分が感じている事を、戦場での惨状を交えて伝え、リーフは自分が感じている事をなんとか答える。
「そう、二人が感じている事は正解だ。この世界のマナは枯渇しようとしている。それは我々とリザードマンという人種が存在し、互いが自分の繁栄と利益を求めているからだ」
「薄々は感じていました……」
「そんな……」
二人の感じ取っている事、それはニードゥスの欲しかった答えだったらしく、重々しく頷く。




