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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
異世界のアフレクションネクロマンサー
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異世界のアフレクションネクロマンサー92

紛い物が、度を越えた真似をするから。


どこかで、アフレクションネクロマンサーの名前を騙って細々としていれば、目を掛けたりもしなかった……が、今回は違った。


赤い液体の調査をさせる為、戦場に送り込んでいた諜報員が、魔石に入れられたマナとは違う力を持って来た時には、驚愕を隠す事が出来なかった。


魔石の中には、小さな雨粒程の力しか溜まっていなかったにも関わらず、その魔石には高純度なマナを濃縮したかのような力が籠っていて、


「こんな事を申し上げるのは、恐縮なのですが……」


「構わない、言ってくれ給え」


「アフレクションネクロマンサーが、現れました」


魔石の中で、翡翠のように輝きながらも小さな赤黒い稲妻が走る力を見せられては、アフレクションネクロマンサーが現れたという話を鵜呑みにせざるを得なかった。


諜報員から何があったのか話を聞き、戦場の出来事を聞いて、異世界からアフレクションネクロマンサーが来たのかと確信し、一度、本物のアフレクションネクロマンサーと顔を合わせたいと思ったのだが、


「すまなかったね。君との会話が弾み過ぎて、つい意地悪をしてしまった」


目の前に来たのは人工的に創られたアフレクションネクロマンサーだったが、がっかり等していない。


本物のアフレクションネクロマンサーでは無く、人工的に創られたアフレクションネクロマンサーであるが、今までの紛い物のアフレクションネクロマンサーと価値が違う。


これから育っていく穢れ無き若き少年、他を寄せ付けないであろう圧倒的な力を持ち、尚且つ、物怖じせずに口が立つ。


定義が無いアフレクションネクロマンサーなのに、これほど、絵に描いたかのような、アフレクションネクロマンサーの名に相応しい、人工アフレクションネクロマンサーを創れるのは、素直に素晴らしいと言えるが、


「…………」


横槍を入れられて、不満そうにする少年を前にすると、


(やはり、子供だな)


まだ、成長途中で完全なるアフレクションネクロマンサーになるには、年月が必要なのだと思う。

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