異世界のアフレクションネクロマンサー82
黄金のドラゴンが、その身を輝かせると光の輪郭が見える。
無色透明のはずなのに輪郭が見え、虹のように色を変えていく。
息が速まって乱れる……目の前で見ているのは、理解を越えた世界の力。
目の前のドラゴンという種族の頂点に立ち、さらにその頂点から飛び立って神となった存在に、
(気を入れろ!!死ぬぞ!!)
(あっ……ぐっ!!)
神からの警告に、怯えていた意識がハッとして、遅れながらも鱗とマナを調和せると、
(行くぞ!!)
自分が死なないように待ってくれたのか、調和が終わったのと同時に、
(ぐぅわぁあぁあぁあぁぁぁああぁっあああぁぁ!!!!!!!!)
赤い炎と黒い炎が混ざった炎を浴びせられた瞬間に、叫び声を上げる。
それは信じられない苦しみ。
紛い物のリザードマンとは言え、ドラゴンが行う調和を行った鱗ですら、神からの炎は耐えられない。
(あぁあぁあぁっああぁあぁああぁっああぁああぁあぁああぁ!!!!!!!!)
炎の中で鱗が熱くなって、皮膚が焼けていく感覚とは違う、鱗ごと皮膚が溶けていく感覚。
耐えようも無ければ、防ぎようも無い苦痛に、断末魔を我慢出来ずに叫び、
(あぁ!!あぁ!!あぁ……うぁぁ…ぁぁ……)
神から降り注ぐ炎に、次第に断末魔を上げる力すら失っていく。
意識が次第に遠くなり、神からの裁きに耐える為に調和していた鱗から力が来ていくと、痛みに耐える為に握っていた拳が開かれ、
(忘れないで欲しい……これでも、君が味わったのはドラゴン族の力の片鱗に過ぎない)
これ以上は耐えられないと判断したドラゴンは、黒炎の炎を浴びせるを止めた。
(うっ…うぅ……)
種族の違いというだけで一方的な力の差に、ボロボロにされた自分の肉体だけでなく、心までボロボロにされて、何一つ言い返す事も、ほんの少し瞳を上げて睨み返す事も出来ず、
(もし、私が君を殺すつもりだったら、一瞬で殺せた)
そう言ってドラゴンは、リザードマンに当たらないように地上に向かって光の光線を、一瞬だけ地上に降らせたのを見て、愕然としてしまう。
その光線は力を弱めていたのか、地上に届く事は無かったが、
(っ…っ……)
それでも、先程の黒炎が手加減した物だと理解してしまう。




