異世界のアフレクションネクロマンサー81
炎とは違う、眩い光の光線。
両手首を掴んでいたドラゴンに避ける術は無く、光の洪水の中に沈む。
力の限り、マナの限り、自分の持てる全てを吐き出して、爬虫類の頂点に立つドラゴンを沈め……
(凄いな)
(なっ……!?)
初めて、ドラゴンが喋ったかと思った瞬間、ドラゴンを包んでいた光が拡散して弾け、光の洪水をはねのけて現れたのは、黄金に輝くドラゴン。
鱗一枚一枚が黄金に脈動し、翼をゆっくりと羽ばたかせる度に金の光が舞う。
(あっ…あぁ……)
その、黄金に輝くドラゴンの姿を見た途端に体が震える。
それは、セナル達を奪われた事で、爬虫類の頂点に立つドラゴンに戦いを挑んで、後悔をしているからではない。
それは望んだ復讐であり、もしあのまま尻尾を巻いて逃げていたのなら、一生を後悔の念を抱き、命尽きるその時まで、苦しんで生き続ける事になっていたのだから、後悔は無いのだが……
(君は、この世界で生まれたリザードマンなんだよね?)
黄金のドラゴンの中で唯一、深い深い深海のような青い瞳で見つめられると、怖くて堪らないのだ。
別に調子に乗っていた訳では無い、自分が選ばれし者だと思い上がってもいない……唯一、思ったのは、目の前の存在と自分は同じ存在だと思っただけなのに、
(どうやら君は、先祖返りをしているみたいだ)
その思いが、頂点に立つドラゴンに対して、不敬を働いた事となってしまった。
この時点で、実力の差が分かってしまい、抗う事が出来ないと悟ってしまい……
(だけど、目覚めたばかりの君では、どう足掻いても私には勝てない)
そんな事は分かっている、逆にリザードマンである自分が、一矢報いた事の方が異常で、
(君が、この先ずっと強くなれるように……)
黄金のドラゴンは、その身をより強く輝かせ、その深い青い瞳をより深く青く沈めると、
(その身に刻むと良い)
力無き者が、ドラゴンに触れた事に対する刑が執行される。




