異世界のアフレクションネクロマンサー77
見えない暗殺者を通して自分自身を罵倒し、自分の愚かさを恨み……
(何でこんな事に……)
後悔の念に押し潰されて腰を落とし、背中を木に預けて、
(なんで…俺が……)
自分が生き残った事を呪った時だった。
(うぐっ……!?)
喉が締め上がる。
(うっ…ぐぅ……!?)
首に何かを巻き付けられて、木に頭をめり込ませるようにギリギリと締め上げられる。
突然の事に何が起きているのか理解出来無いのだが、一拍の間も無く目がチカチカする……頭が割れそうになる……
思考が追い付かないが、それでも、何とかしようと首に巻きつく何かを引き離そうとジタバタするが、次第に手に力が入らなくなるとダランとずり落ちてしまう。
(くっ…そっ…………)
この喉が締め上げられるのは天罰だと、セナルを奪われた自分には相応しい最期だと……そんな事を思いながら意識が薄れてゆく……
自分の全てが薄れる…楽しかった記憶も……嬉しかった記憶も……哀しい記憶も……何もかもが霧が掛かったかのように薄れて……全てが真っ白に消えていく中で、一つだけ輪郭が残る。
色々な物が真っ白になるからこそ、その一つだけがクッキリとしていき、それが何なのか、惚けた気持ちで見ていると……
(うあぁああぁぁぁあああぁああぁぁ!!!!!!!!)
セナルの姿が鮮明に映って、怒りが爆発する。
確かに……セナルを守れなかったのは自分だ……確かに……セナルの想いに癒されていたのは自分だ……だけど……
(お前は!!俺が殺す!!!!)
セナルを奪ったのはこいつだ!!
冷え切ったはずの手が熱く燃え上がり、怒りのままに喉を締め上げる何かを掴むと、
『ブジュゥゥゥゥ!!!!』
掴んだ何かから、焼ける音がする。
(ふざけるなぁぁぁぁああぁあぁぁぁぁぁ!!!!!!!!)
もっと命を熱く、もっと命を脈動させるために雄叫びを上げると、煮えたぎる怒りの熱さに耐え切れなくなったのか、巻き付いていた何かはグニュグニュとくねって掴んでいた手から逃れて、ズルズルと首を這って離れる。
(くっ…!!)
燃えたぎる手は、間違い無く何かを掴んでいたが、首を締め上げられていた為に手に力が入らずに逃がしてしまうが、危機は脱した。
体に力を入れる為に、一気に空気を吸い込んで肺を膨らませると、後悔の念に押し潰されていた体を立たせて、大地に足を着ける。
(……燃えている)
後悔の念をはねのけて大地に立った自分の体は、鱗が炎のように光って燃え上がっていた。




