異世界のアフレクションネクロマンサー70
なんとも言い難い表情。
望遠鏡の中に映る光景の感想を述べないといけないのだが、それを正直に述べるのは、失礼に値すると考えて、口にする事が出来ず、言葉が喉に詰まって苦しんでいるのだが、
「思った事を言ってくれて構わない。君の意見を聞きたいのは、アフレクションネクロマンサー君の反応を見たいからだよ」
「……っ!?」
ニードゥスの言葉に、礼人の力が高まって反応し、閉じていた左眼の水晶が暗い部屋の中で、淡く光る。
「落ち着いて!!」
リーフの声を聞いても尚、淡く光る水晶は、礼人の感情が高まっているのを示している。
「ほう…凄いものだな、その力」
まだ、怒りにまで感情が振られていないのに、アフレクションネクロマンサーから感じる力に、さすがのニードゥスでも称賛するが、
「さぁ、フレン君。思った事を口にしたまえ」
ニードゥスの会話を止める事は無かった。
一歩間違えて、この力を爆発させれば凄まじい事になるのは肌に感じたが、
「なに、不安に思う事は無い。これは、互いを理解するための話し合いなのだ。アフレクションネクロマンサー君も分かっているね?」
少なくとも、この程度の会話で感情を爆発させる程、安い存在では無いとも踏んでいた。
二人のやり取り……というよりは、礼人の方が何かをやらかさないかと、フレンの心配が移るが、
「フレンさん…教えて頂けませんか……冷静に努めますから」
礼人の言葉に、フレンは頷いた。
ここで「大丈夫です」とか「自分は冷静です」と言っていたら、出来るだけ言葉を選ぼうかと思ったが、本人が冷静に努めなければならないと理解しているのなら、
「あんな物が役に立つのですか?」
包み隠さずに、本音をぶちまける。
「それは……!!」
「落ち着きたまえ、フレン君の話を聞いてからだ」
礼人は、フレンの考えをすぐにでも訂正させたかったが、ニードゥスに話を最後まで聞くように、注意されると口を閉じた。
礼人が一瞬、感情のままに喋ろうとしたが、注意されてすぐに口を閉じたので、
「あの程度のレンガなら、オーク達の投石で十分に破壊可能です……あのような物をわざわざ作る必要があるのですか?」
フレンは思った事を、素直に喋る。




