異世界のアフレクションネクロマンサー69
そのデザインは現代のひらっべったいものではなく、ブリキのおもちゃのような、キャタピラの上に四角い鉄の箱を乗せたかのような背の高いデザイン。
そんな、ブリキのおもちゃのような三台の戦車が、三角の隊列を組んでキャタピラを回しながら進んでいる。
キュラキュラ、キュラキュラとキャタピラを回しながら右往左往に、隊列を崩さないように曲がりくねりながら進む。
(訓練?)
ここは本国なのだから、敵が攻めて来ていたら、ハチの巣を突いたような騒ぎになっているはず。
その事を踏まえればこれは訓練だと分かるのだが、訓練ならば一体どこに向かうのかと、望遠鏡を戦車の進行方向に向けてみると、指揮官らしきエルフが戦車を見守っていた。
戦車隊は、その指揮官らしき人物を目指して複雑な走行訓練を行い、一台の脱落も出す事無く、無事に大地を駆けて辿り着くと指揮官の横で停まる。
指揮官は、自分の下まで戦車隊が無事に辿り着いたのを確認すると、遠くの方を見つめ、何かを喋っているのか大きく口を動かすと、
『タターーン……タターーン……タターーン……』
礼人達がいる展望台まで、小さい発射音が聞こえる。
(これが、こっちの世界の戦車……)
砲塔からマナの残り香のような物が一瞬光ると、砲塔から砲弾が撃たれて、遠くの、レンガを積み上げた的を破壊した。
その威力は、生身の者が喰らったのなら、間違い無く即死するであろう。
あまりの衝撃的な光景に、目を離して良いと言われていないのに、望遠鏡から目を離し、
「これは…フレンさん達は知っているんですか?」
質問しても良いと言われていないのに、質問してしまう。
「ニードゥス様…一体……」
礼人の震えながら驚く様に、フレンは嫌な予感をしながらも、何が見えるのか恐る恐る聞いてみると、
「君も見てみたまえ」
百聞は一見に如かずと、自分の目で見るように言われてしまう。
「……はい」
ニードゥス様から言われては、しつこく質問することは出来ず、言われるがままに礼人の場所を変わって貰うと、何があるのかと胸を締め付けられる思いをしながら望遠鏡を覗き、フレンの目にも、礼人が見ていた光景が映るが、
「その…何と言ったら……」
フレンの様子は、礼人と違った戸惑いを見せるのであった。




