異世界のアフレクションネクロマンサー60
ニードゥスは、自分がした無理を思い出して眩暈がするのか、自分の眉間に指を当て、
「血筋が悪いだと、過去の経歴が悪いなど…そんな事ばかり気にして、才能があっても虐げる……それでは、我々は滅んでしまうというのに、他の者は分かろうとせんのだよ……」
「ニードゥス様……」
議会の中で、才ある者を引き立てるべきと訴えたが、理解を得る事が出来なかった……が、押し通した時の事を思い出す。
「君には、何一つ相談しないで決める事には悪いと思ったが……」
何一つ相談しないで決めてしまった……ニードゥスはそう言うが、
「だったら!!我々が集めた者達で証明してみせよう!!」
賛同を得られなかった議会でニードゥスは、自分達の派閥で集めた、功績を上げた街に住むエルフ達の資料を、壇上のど真ん中から空に放り投げた。
自分の怒りを表す為に放り投げた資料は、紙吹雪のように舞い、ひらひらと落ちていくのだが、その中で複数の資料が落ちずに舞う。
まるで、風に吹かれたかのように資料は、対立派閥の方に流れて行き、
「フレア・フレン……良いだろう、この男でやって貰おうか」
対立する者の下へ複数の資料が辿り着くと、その中からたまたま手にしたのが、フレンの資料であった。
「我々の為に、心労をお掛けになって下さったのですね」
「……いや、そうでもない」
年甲斐もなく、壇上で派手にぶちまけた自分の姿を思い出し、話し合いの上で、倫理的に押し通したのではなく、資料を放り投げるという暴挙で、物理的に押し通すという若気の至りが、自分の中にまだあったのかと苦笑してしまう。
そんな事が議会であったと言うのは、言える訳も無く、咳払いをして苦笑していた表情を戻し、
「しかし、私の推薦だけでは全員を納得させる事は出来なくてな……そこで君には将軍として、これから与える初の任務を必ず成功させて欲しい」
「将軍として……」
試練を与える。
「うむっ……君に与える任務は、敵に奪われた拠点の奪還、及び鉄騎兵に使われている赤い液体の確保だ」
この与えられた任務を成功させる事によって、フレンだけでなく、街にいる優秀なエルフ達が、生まれの貧富で、その才を潰されることが無くなるはず。




