異世界のアフレクションネクロマンサー51
文明の差……それが違う国家間での話なら、発展の差で話を終わらせる事も出来もするが、
(これは差別なんかじゃない…奴隷……?何かもっと悪意のある何かがある……?)
下級民に、便利な物を使わせたくないという理由で、技術の独り占めをしているのなら単なるアホだが、今は戦争をしているのだ。
リザードマンと、生きて繁栄する権利を掛けて争っているのに、技術を降ろさないのは不可解にも程がある。
元居た世界の戦争だって、最初は隣の国同士位の戦争が、機動力を手にしたせいで軍用車が陸地を駆け、軍艦が海を跨ぎ、戦闘機が空を飛翔するようになったからこそ、世界で戦争が出来るようになったのだ。
大漁の物資を一度に、兵士を疲れさせずに遠くに運搬出来るのは、戦争では圧倒的なアドバンテージになる。
常に疲弊し、物資が少なくなっている軍と、常に物資が潤沢で、士気が高まっている軍、どちらが有利かは言わずもがな。
昔から、敵を討つのに補給線を潰すという作戦は、古代だろうが近代だろうが重要な任務の一つ。
それだけ重要な行為が、有利になる技術があるというのにしないのは、余りにも馬鹿げているのだが……
(本当に……オークに触られるのが嫌とかという。ふざけた理由なのか?)
本国の出立前、ビレーさんも来てくれると思っていた礼人は、内心では何かあったら助けて貰えると期待していたけれど、
「すまない……我々、オークが呼ばれていないのに本国に行けば、問答無用で殺されても文句を言えんのだ」
ビレーさんは、産まれた種族の違いで、一緒に付いていけない事を申し訳なさそうに、寂しそうにしていた。
その時は、ここまで差別的な行いをされるのかと同情していたが……ビレーさん達を取り巻いている現実は、もっと恐ろしいものかもしれない。
(……こんなのを、自分がどうにか出来るのか)
深い闇が、礼人を包む。
それは、ただただ暗いだけでなく、臭気を漂わせる汚らしい闇。
周りで何が起きているのか見えないようにしているいのに、鼻には腐った汚臭を臭わせて吐き気を誘う。
吐き気を誘う臭気を断とうにも、闇の包まれては何も出来ない。
自分がどのような、恐ろしい状況にいるのか分からないのに、
「フレン様、間も無く到着致します」
ガラス越しに座っている自分達に聞こえるように、、運転手が本国に着く旨を大きな声で伝え、
「分かりました。リーフ起きなさい」
「ふみゅ…?」
フレンがリーフを起こす。




