異世界のアフレクションネクロマンサー32
「リーフさん…確かに、ここにいる人達は笑顔です。しかし、それは本国の人達が守ってくれているから何ですか?それとも、虐げられても仲間同士で支え合っているから笑っているんですか?」
リーフは、アフレクションネクロマンサー様の言葉を聞きながら自分の街を見直し、
「……それがアフレクションネクロマンサー様が見ているもので…それが私達の側から離れるかもしれない理由なんですか?」
リーフにも、アフレクションネクロマンサー様が何を見ているのか見えた。
アフレクションネクロマンサー様は、亡くなった人達の命を冒涜するリミィ様の行いに怒りを覚え、生きている人達を虐げる本国達に対しても嫌悪感を覚え……
「うん…だけど、離れるのは君達からじゃない。リミィがやっている事は許せないけれど、人を人と思わない本国に肩を貸そうとも思えない」
アフレクションネクロマンサー様の本心を表す強い口調は、敵を見据えている。
強い口調の強い本心、この人が望んでいるのは、
「悪を討つ……」
「ちょっと大仰ですが……でも、そうしないと全てが死ぬかもしれません」
悪というのが何のなのか……世界を統べる魔王を倒せば良いというのなら、話は終わっている。
この世界にとっての魔王であるリミィは死に、残された残党を討てばそれで済む。
礼人が命を掛けて、全軍で立ち向かえば討伐は夢物語ではないが、
(それは根本的な解決にはならない……)
リミィがあの日、鉄騎兵を送ったのはじいちゃんやアニーさんを殺す為や侵略する為ではない、送られた鉄騎兵はアフレクションネクロマンサーを求めてやって来たのだ。




