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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
夢の中
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夢の中58

「はぁ……」


溜息を吐いて息を止める。


体の中の不安がこれ以上暴れないようにと、無意識に体が呼吸を止める。


自分の方へとゆっくりと迫ってくる鋼鉄の巨人に対して、先程と同じようにバックステップを始める。


最初は同じスピードで下がり、鋼鉄の巨人が強く歩を進めて雪を搔き分けた瞬間にバックステップの幅を縮めて、わざと近付けさせていく。


距離が縮んでいく合間に、背中の霊力の羽から霊力の球体を作り出す。


礼人は鋼鉄の巨人から逃げ回りながら勝つ為に、霊力の機雷を作り出していた。


消極的な戦い方ではあるが、二月のように巨大な蝶を操作し、アニーのように霊力の矢を形成するのはまだ難しい。


だからこその球体の機雷なのだ。


生き物や道具をモチーフするのではなく球体、四角に三角、基本中の基本である形は昔からずっとやってきた。


やってきたからこそ、この土壇場でも素直に作り出せる。


これが、今までやってきた努力の延長線……そしてこれは、


「ぐぉぉぉぉぉぉ!!!!」


(……っ!!)


これはじいちゃんが自分に贈ってくれた、これから特別になっていくであろう力。


鋼鉄の巨人がもう一度、礼人を粉砕するため鋼鉄の腕に力を込めると、礼人も今一度、鋼鉄の巨人から逃げるために足に霊力を込める。


互いが互いに力を込めると、先に力を解放しようとしたのは鋼鉄の巨人の方で、剛腕が礼人に狙いを付けて腕が上がる。


ゆっくりと狙いを付けながら、当たれば一撃で相手を黙らせる拳が最も威力を発揮する所に到達する時、


(駆け抜ける……!!)


その瞬間、礼人は鋼鉄の巨人が豪腕を解き放つよりも速く、後から足の霊力を解放したにも関わらず、鋼鉄の巨人よりも素早く一瞬で動いてみせる。


雪の上という足場の悪い場所


だが、礼人が足の力を解放した瞬間、背中の霊力の羽が震えて、背中を強く押される感覚が生まれ、その感覚に逆らわず、素直に従うと景色が変わる。


礼人が贈られたもの……それは背中の霊力の羽。


霊力の羽は凄まじい。


この怨霊の霧の中、何ら問題無く活動出来るのは背中から生えている霊力の羽が祓ってくれているからであり、この羽が出ている限りは周囲の怨霊に対して対抗することが出来る。


そしてもう一つの利点、これは最初に後ろへとバックステップした時に感じたのだが、


(体が軽い?)


霊力の羽から放出される力は周囲の怨霊を祓うだけではなく、物理的にエネルギーをも放出していた。

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