異世界のアフレクションネクロマンサー26
(ずっとか……)
あの時……赤いバラが空に咲いた時から、きっと自分は産まれた世界から離れると予感はしていた。
こっちの世界で起きている事が自分達の世界を侵食し、このまま放置してはいけない事、何らかの対処をしないといけないと思っていたが、
(もしも無事に、この世界の問題を解決出来たら…帰れるのか……)
礼人は自分の左眼を触る。
それは、帰る手段もそうだが、自分の体に起きている変化もだ。
左眼が水晶化し……
「左目が痛むのですか?」
「いえ、左目も見えてたらこの景色も、もっと素敵に見えたのかなって」
左眼を触っていた手を、肌をなぞらせて白髪化していた髪を触る。
鏡を見た時には左目のショックであまり気に止めなかったが、側頭部の一部分だけ白髪化していたはずの髪が、前髪の方まで白くなっていた。
力の融合は強大な力を手にする代わりに、代償として礼人の体を間違い無く侵食している。
侵食された体はいつかボロボロになり、いつかは死ぬ……
(だからか……)
あの時、電話切る時に無意識に謝ったのは、異世界に行って帰れる手段を見付けられずに、こっちで余生を過ごすからではなく、見知らぬ異世界で、みんなを心配させたまま自分が死ぬのを感じたからかもしれない。
もう、二度と自分の故郷の地を踏めないとしても、
「でも、気になったのが街の中を川が通ってる所ですね。川の氾濫とか大丈夫なんですか?」
リーフは、礼人がこの街を新たな故郷にし、骨を埋めるのを受け入れてくれるだろう。




