異世界のアフレクションネクロマンサー22
(まいったな……)
彼のにっこりと笑う姿には悪意は無いが、
「願いとか目的は…これからも増えていくでしょうし、これから先で変わったりもするでしょう……ここで、この先ずっとの答えを出す事は出来ません」
「……お若いのに、沢山の物を背負っている」
「そういう生き方を望みましたから」
どうやら少年は、自分の探りに勘付いていたらしく、彼からの止めどもないジャブは見事にフレンにクリーンヒットさせた。
(……信じてみよう)
誰かの意志によって操られている訳でも無く、自分の意志でやるべき事を定めている聡い子。
現時点で彼が、自分達に対して危害を加えるような存在じゃない事を認め、
「長々と、話にお付き合い頂いて感謝致します」
「こちらこそ、一週間も保護して下さって、ありがとうございます」
相手の腹を裂いて、腸を引き千切るような腹の探り合いとは言わない、スパーリングの調整するような問答が終わりのゴングを鳴らすと、わだかまりの無いように互いが礼を述べ、スープに口を付ける。
そうして、礼人はフレンが用意したスープを飲み干し、同じようにフレンも礼人が手を加えたスープを飲み終えた頃には、
「良かったら、これから外を歩きませんか?」
リーフが散歩に行こうと誘ってくれる。
「良いでしょうか?」
「どうぞ、行ってらっしゃい」
この街の主であるフレンに、よそ者の自分が街の中を闊歩して良いかと確認すると快諾してくれたので、椅子に手を掛けながら席から立って、足で床を踏みしめる。
「おぶりましょうか?」
「体を動かせるようにするために、ここからは自分で歩きます」
足からの感触が腰にしっかりと伝わるのを感じて、歩行が困難になっていない事に一安心し、リーフが念のためにと、側に寄り添ってくれながら食堂から連れ出してくれる。




