異世界のアフレクションネクロマンサー19
喜んでスープを食べるリーフに、美味しそうに食べる礼人。
それに対して、フレンはスープをすくっていたスプーンを静かに置いて、
(余程信じているのだな)
少年が何か手を加えた料理を疑う事無く、無邪気に喜んでスープを飲む娘の姿。
また、出されたスープに一度は違和感を感じながらも、再び口を付ける少年。
娘は少年の事を、心の底からアフレクションネクロマンサー様と認め、少年もまた、私達の事を信頼しているのだと感じた。
美味しそうにスープを飲む彼は、年相応の少年なのだが、
(どうしたものか……)
少年が何かをしたスープをくるっと混ぜ、
「不思議な力をお持ちなのですね……もしかして料理の才がおありで?」
「いえ、違います。野菜は大地から穢れたモノを吸い込み、この肉の生き物は穢れた草を食べて、穢れを蓄積してしまったのでしょう。私はそれを祓っただけです」
「穢れを祓ったですか」
「そうです。不味くしていたのは穢れで、元々このスープは美味しかったっということです」
(本当に変わった少年だ)
悪い子ではなさそうだが、この街を預かる立場としては、素性は分からないにしても、もう少し彼を分かるようなことがあればと思う。
アフレクションネクロマンサー様という、伝説に、幻のような存在に証明を求める事がおかしいのかもしれないが……さっきは、もう少し先延ばしをしても良いかと思ったが、少年の力は本物で……
さっきの今で「何の為に」という話をしつこく持ち出すのは、品も無く早計だと思い悩むが、
「そう言えばさっきの…何の為にという話に付いて何ですが」
「まだ何か、ありましたか?」
少年の方から、さっきの話の続きを切り出してくれた。




