異世界のアフレクションネクロマンサー18
どうやらリーフは、礼人がスープを吐き出したのは、質の悪いマナが原因だと思ったらしく、このスープの品質の悪さは、料理の腕とかではない事を教えてくれるが、
「……問題はそれだけじゃないようですが」
「えっ……?」
まだ、注視しなければ目には見えない穢れ……
(そう言えば、赤い空の下にあった木々は赤みを帯びていた……)
それは単純に穢れた場所だから色合い的に赤みを帯びていると思っていたが、どうやら穢れは空だけでなく大地も犯しているらしい。
「良ければ、私の力を披露したいのですが、よろしいですか?」
「是非とも」
礼人の申し出にフレンは快諾すると、三人のスープを自分の前に集めて手を掲げ、
(寝仏北百八万之命他種祈願安……)
心の中で経文を唱え、
「今のは?」
スープからの湯気に混じって、赤い湯気が一瞬立ち上った。
何かの見間違いかと思ったが、
「どうぞ、これで少しは変わったはずです」
少年の意味ありげな笑みに、自分の元に戻されたスープを口に含むと、
「……これは」
「懐かしい!!」
フレンとリーフは、自分の口一杯に広がる素材の味に声を出して驚きながらも、二口三口と口元に運んで味わっている。
そんな二人の様子を見守りながら、礼人も口にスープを運び、
「美味しい」
少し塩味が足り無い気がしたが、それは現代社会の塩分過多のせい。
野菜をふんだんに使って肉から取られた出汁が煮詰められたスープは、目覚めたばかりの体に染み込んで堪らなかった。




