異世界のアフレクションネクロマンサー6
いつかこうなる事が嫌だったのならば、自分の世界で霊能者を辞めて、ただの少年として、どうしようもない時だけ力を貸すという形で、ゆっくりと生きている道だってあったのだ。
だが、その道を選ばなかったのは自分自身……
「あの時……逃げ出していれば誇りを…みんなを失ってた……本当に…全てを失わないで良かった……」
礼人は、優しく握ってくれるリーフの手に自分の手を重ねる。
それはずっとアフレクションネクロマンサーの影を追い続け、助けを求める人達の止まり木として寄り添われて、守り続けて来た礼人が、リーフの優しさに心の底から寄り添った。
「私達は…アフレクションネクロマンサー様をお慕いしております……そして、側にいます」
その小さな身に運命を宿命を背負う苦しみ……体が侵されていく恐怖を、少しでも分かち合えるなら……
「うんっ…ありがとう……」
弱々しくも優しく微笑んだ礼人に応えて、リーフも優しく手を握り、礼人の心が落ち着くまで、二人で静かな時の流れを過ごし、
「……手鏡を貸して貰っても?」
自分の左目が失明したことを受け入れられるほどに落ち着くと、
「はい」
リーフは自分の手鏡を、礼人の左手に握らせてあげる。
「ありがとう」
礼人は受け取った手鏡で、髪を整えるかのように穏やかに自分の顔を映す。




