異世界のアフレクションネクロマンサー1
(……ここは)
暗い世界。
光が届かない場所。
静かで周りには誰もいない所だが、
(そうか、寝ているんだ……)
そこは決して死んだ者が辿り着く、恐ろしい闇の中ではない。
疲れた人を癒し、活力を与える心地良い夜に似た世界。
安息を与えられた体はゆったりと漂い、
(…みんなはどうなった)
明晰夢のようにハッキリとする意識で、自分に協力してくれた魂達が……ばあちゃんが体の中に残っていないか探すが、
(……ありがとう)
誰も感じる事は無かった。
みんなの協力で放った最強の一撃は、出来損ないの人魚を殺し、ばあちゃんがリーフに頼んで名前を呼ぶように言ってくれたから、自分は生きて帰って来れた。
生きている…生かしてくれた……この世とあの世の狭間でゆらめく運命の天秤を、この世に振り切れたのは、間違い無くみんなのお陰で……
こうして、生かして貰える事に感謝しながら、
(体は…どうなったんだ?)
最強の一撃を撃ち込んだ際、コアとぶつかった凄まじい衝撃を味わったのは覚えていた。
その衝撃は大太鼓を叩いたかのような衝撃で肉を叩き、骨の芯まで響かせて震わせた記憶が残っていて、地上に辿り着き、みんなに「ただいま」と言った時には体は五体満足であったが、
(……怖いな)
体を動かすのに勇気がいる。
精神も肉体も限界を超えて戦った……そのリスクが一切無ければ良いのだが、
(砕けていないよな……)
骨が折れていても、あまりの興奮状態にアドレナリンが分泌されて、痛みを感じずに動けてしまうというのは多々聞く話で、出来れば全てが無事であって欲しと思いながらも、手足から動かすのが怖くて、無事である頭を動かす所から始めた所で、
「アフレクションネクロマンサー様!?」
リーフが自分の事を呼んだ。




