旅立ち350
抱き締めていたリーフを、お姫様抱っこに持ち変えて、
「行こうか・・・」
「はい!!」
礼人は、羽を羽ばたかせて地上へと向かう。
そう、行くしかない、あの哀れなる魂達を置いて・・・・・・
「姫!!アフレクションネクロマンサー様!!」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
崩壊していく出来損ないの人魚を後にして、こっちに向かってくる二人を見て、戦いが終わったことを認識する事が出来る。
今度こそ、アフレクションネクロマンサー様の本当の凱旋に、皆が喜びの雄叫びを上げて勝利を分かち合う。
「良かった・・・みんな喜んでいます」
リーフも、みんなの喜びを体の芯から感じると、感情が高まって瞳に涙を浮かべ、礼人の体に自分の体を寄せる。
各々が、勝利に喜びを噛み締める様を感じながら、
(・・・本当の勝利を手にするためには)
礼人は、赤く染まる空を見上げる。
人が死に、浄化することが出来なくなってしまった世界・・・・・・
(戦争を終わらせて、死者を増やさないこと)
の一歩手前。
これ以上人が死んで、空が真っ黒になった時、
(世界は崩壊する・・・・・・)
現世に、幽霊や妖怪が溢れるのが当たり前の世界になってしまう。




