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旅立ち347
喉元に差し込んだ指ごと締め上げられて、苦しそうにくぐもった声をあげ、このままでは絞め殺されると分かっていても、リーフは笑顔を崩さない、笑っていられる。
その理由を一々、ゴタゴタと述べる必要はない。
リーフは赤い蜘蛛の糸の締め上げに耐えながら、これが無駄な足掻きだと理解し・・・・・・
「リィィィィィフゥゥゥ!!!!!!」
彼が、自分の名前を呼んでくれた事に満面の笑みを咲かせた時には、
『ブジュゥゥ・・・・・・』
礼人を包み込んでいた赤い繭も、リーフの足を、首を締め上げていた赤い蜘蛛の糸も全て溶けて、
「ごめんね・・・助けに来てくれたんですよね」
「はい・・・あなたの事が待ちきれなくて」
リーフの事を抱き止める礼人・・・二人の物語が再び1つに戻る。
生者と死者の世界に別れ、永久の別れに涙するはずだったが、二人はその運命に逆らい、
「無駄だ。コアを無くしたお前達に、私を取り込むことはは出来ない」
出来損ないの人魚が、礼人達に赤い触手を伸ばして礼人達を絡めとるが、礼人は一切怯まない。




