旅立ち345
そこまでしてくれる理由は?
なんで自分の為に?
理解出来ないのに、左目からは止めどなく涙が溢れる・・・・・・
自分がするべきなのは、その時が来るまで、この身が滅びないように待つことなのだろうか?
気持ちを落ち着かせ、
(霊力を集中して・・・・・・)
息を整えて、
(霊力を高めて・・・・・・)
自然と、自分がしてきた事をこなす。
(そうだ・・・いつも、こうやっていたんだ・・・・・・)
霊力を高めるのは修行だけではない、戦う時も。
(・・・決着をつけてやる)
次第に高まっていく感覚で、背中に羽が生まれる。
さっきも、危機的状態に陥って無意識に羽が生えたが、今度は自分の意思で羽を展開し、
「行くよ」
自分の為に命を捧げてくれてた魂を信じて、夜空で輝く星を目指す。
闇夜を切り裂く感覚は、あの時を思い出す。
自分の世界に別れを告げて、運命に立ち向かったあの時を・・・・・・
(そうだ・・・飛ぶんだ・・・・・・)
羽は次第に強く光、
(もっと高く!!)
小さな羽は次第に、大きく大きく育ち、
「礼人ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
光の先から「自分の名前」を呼ぶ声が聞こえた瞬間、人影は一筋の光となって闇夜の世界から飛び出す。




