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旅立ち341
白昼夢を見ていた……?
そうだ、あんな化け物なんている訳が無い。
リーフは、白昼夢に気疲れを起こしてしまい、ベッドの上に倒れ込む。
「夢…か……」
本国の人達に置いて行かれて、ひもじい思いをしたのも……森の中で赤いモノに憑り付かれかけたのも……
「アフレクションネクロマンサー様……」
自分の事を助けてくれたアフレクションネクロマンサー様も、全て白昼夢だった。
枕に顔を押し付けると、その柔らかさで心地良くなってしまって……
「……それだけは…良かったな」
とても一生懸命で…凄く必死で……物語の中の何でも出来る英雄では無かった……けれど……
「また…会いたいな……」
自分達と同じように苦しみ、自分達の側に寄り続けてくれた彼は……
(いえ、幻じゃないわ)
突然の自分以外の声が頭の中に聞こえ、驚きのままに枕に押し付けていた顔を上げると、机の所にあるイスに、一人の老婆が座っていた。
普通なら、自分の部屋に見知らぬ老婆が座っていたら、恐怖を覚えて身をすくめる所だが、
「あなたは…」
恐怖を覚えるよりも、この老婆の事を知りたいという想いが勝る。




