旅立ち340
指先が、アフレクションネクロマンサー様に触れた?
(違う……)
他の指を伸ばして何かに触れないか、服の端に何かが触れないかと伸ばしてみたが何も触れない。
人差し指にだけに何かが、自分の指先に触れている。
指先に感じるそれには、不快な感覚はしない。
アフレクションネクロマンサー様を連れ出す事は出来なかったが、指先にいる何かを外に……自分の目の前に……
「蝶……?」
指先に止まっていたのは小さな蝶。
(この小さな蝶は……)
これはアフレクションネクロマンサー様からの贈り物?それとも魂?
これが何かに繋がるであろう鍵なのは分かるが……しかし、鍵だけを手にしても、この鍵と結び付く鍵穴が分からなければ……
「あっ……」
リーフは、指先に止まる蝶をどうしなければならないのか?どうすれば良いのか?どこに鍵穴があるのか?
その事を考えようとした時には、小さな蝶は羽をパタパタとはためかせ、自分の鼻先に止まると、意識が飛んだ……
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(どうして、ここに?)
自分の部屋。
外から差し込む光は温かく、倒れ込めばすぐにでも眠りに誘ってくれるベッド……意識がおかしくなる……
全てが嘘だったかのようで……いや、全てが嘘だったのでは?




