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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
夢の中
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夢の中51

辺りを包んだ黒い霧は鋼鉄の巨人の体から噴出される。


先程まで突撃したり腕を振り回したりと、体格差を活かした攻撃方法だったのに、新たな霧状に怨霊を噴出する攻撃を防ぐ手立て等無かった。


思いっきり怨霊の霧を肺の中、体の中に入れてしまった為に自分の意思とは関係無く拒絶反応を起こして身動きが出来なくなってしまう。


「ぐぅ…げぇ……」


皆が皆、胸をお腹を押さえながら体に入り込んだ悪霊を吐き出そうと嘔吐を繰り返す。


先程までそんな攻撃の手段等取らなかった鋼鉄の巨人が、なぜ今の今になって自分の怨霊を霧状に噴出したのか?


それは二月の蝶の鱗粉をマネただけの話。


余程、自分が受けた鱗粉が苦しかったのか、見よう見まねでやっただけなのであろうが、その効果は正にてきめんであった。


自分が受けたからこそ分かる苦しみを、相手に返す。


逃れようにも逃れられない、肌に粘膜に体の中に例えようの無い気持ち悪さが常に襲い掛かる。


こうなってしまっては一般人だろうが霊能者だろうが関係無い、身動きの取れない者などただの獲物。


自分の周りでひざまずく獲物を鋼鉄の巨人は悠然と見下ろし、


「ぐぅぅ……」


品定めを始める。


一番最初にこの拳を振るいたい相手は決まっている……自分を苦しめたあの男だ。


七転八倒した為に方向を見失ってしまったが、自分に危害を与える者がいなくなれば話は別。


ゆるりと周囲を見渡せば白い雪の上に点々と転ぶ、濃い緑の色をした服を着た者たちがいて、

その濃い緑の色をした服を着た者から白髪の男を見付ければ良いだけの話。


一つ一つ、見逃さないようにゆっくりと見渡していた鋼鉄の巨人の動きが止まった。


鋼鉄の巨人の動きが止まったという事はそういう事で……鋼鉄の巨人が一点に見つめる先には白髪の老人が雪の上に倒れている。


既に戦う気力など無い状態なのははたから見ても分かるような状況であったが、


「ぐぅぅ…」


鋼鉄の巨人は低く唸りながら、老人の方へと近付いて行く。

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