旅立ち303
吹き荒ぶ風に雪が舞って、そこにいる者達を凍えさせるような冷たさに、
(お家に帰ろうよ・・・・・・)
こんな怖くて・・・寒い所からは早く離れたい・・・・・・周りには友達もいるけれど、それでも早く帰りたい。
いつもなら、遅くまで遊んで、友達のお母さんが呼びに来てから、みんなにバイバイして帰るけれど・・・・・・(すぐに帰れるから、心配しないで・・・・・・)母はそう言ってはくれるが、自分のことを抱き締めて震えて、その場から帰ろうとしない。
なんで、こんな寒くて、怖い所にずっといるのか分からなくて・・・・・・みんなだって、きっと早くお家に帰りたいと願っているはずなのに、誰一人その場から帰ろうとしない。
みんな震えて・・・震えて・・・・・・まるで、かくれんぼで鬼から身を隠して息を潜めているかのようで・・・・・・そこで、初めて気付いた。
これは、かくれんぼをしているんだと。
目の前にいる鋼鐵の鎧を来た兵士が鬼で、自分達は身を隠す側。
こうやって震えて身を小さくしているのは、少しでも鬼の目に留まりたくないから。
(ママ、だったら・・・・・・)
それだったら、僕は良い隠れ場所を知っている。




