旅立ち295
ならば、離れた所にいる命に触れれば良いのかというと、そうなのだが、翼も羽も持たない赤い手の平に、そこまで行く手立てがない。
突如として訪れた均衡、この隙に・・・・・・
『びちゃっ・・・びちゃっ・・・・・・』
「そんな・・・・・・」
この隙に冷静さを取り戻せれば、少しは状況が好転したかもしれないが、与えられた隙間は、ネズミ一匹通れないほどに狭かった。
リーフの思考が巡る前に、赤い手の平が、バラバラに落ちていた赤い手の平が一対になると、親指と親指がディープキスを交わして絡み合い、人差し指から小指までその快楽に反応して『ピクピク』と震えて左右の指が同調すると翼になり、赤い鳥へと様変わりする。
「そんなのズルいよ・・・・・・」
自分は、どうしたら良いのか分からずに苦しんでいるというのに、赤い手の平はネズミ一匹通れないほどに狭い隙で、愛し合って答えを導き出し、新たな存在となって生まれ変わる。
赤い鳥へと姿を変えて『びちゃっ・・・びちゃっ・・・・・・』っと翼の先から赤いモノを滴らせながら、離れた所にいる命の方へ飛んでいく。
「誰が、そんなのを許すか‼」
リーフ抜け出せない思考の中でも、家族を助けろという本能に付き従って、サンダーウェーブから飛び出そうとするが、
「行ってはなりません‼」
そんな事をすれば、全てが終わると戒められる。




