旅立ち284
その衝撃は脳を揺さぶるほどでは無く、頬に痛みを覚える程では無いが、ネッチョリとした感触を頬が覚えて、頬に手をあてがうと、
「何これ……」
ノリのようなネチョネチョした赤いモノが、張り付いている。
触ると気色の悪い粘り気に、頬に付いた気色悪いモノを拭い取って払うが、
『ビチャン……!!』
「また!!」
今度は、リーフの背中に衝撃が走り、後ろを振り向くと赤い霧に隠れて、影が逃げて行くのが見える。
影はどうやら、リーフに狙いを定めて襲って来ているらしいが、それは特に致命傷になる訳でも無く、ただただ体当たりを繰り返すだけの存在。
この程度の事しかして来ないなら、決して怪我をすることも無く、このまま突き進んでも問題無いと無視して行こうとしたが、
『ビチャン……!!ビチャン……!!ビチャン……!!ビチャン……!!』
赤い霧の中には何匹もの影がいて、リーフに容赦無くぶつかって来る。
「しつこい!!」
しつこく、自分に体当たりを繰り返して来る影を、翼を羽ばたかせて追い払い、影が逃げた所でアフレクションネクロマンサー様の所へと向かおうとするが、
『ビチャン……!!ビチャン……!!ビチャン……!!ビチャン……!!』
アフレクションネクロマンサー様の所へと向かうのを許さないのか、影は追い払われようとも、しつこくリーフに体当たりをし続ける。




