旅立ち271
「誰も不幸にしたくない…みんなを護りたい……その願いはきっと英雄の条件だと思います……けれど、それだけじゃ英雄にはなれない……私達に言って下さい……あの化け物を倒す為にも、自分の背中は自分で守れと!!命を掛けろと!!アフレクションネクロマンサーと共に戦って死ねる栄誉を与えると!!」
ポロポロとこぼしていた言葉は、最後には思いの丈と共に大きくなって叫び声となって大きく響き、リーフの瞳が涙で濡れる。
それは、本当だったら礼人が言わないといけない、礼人が示さないといけない残酷な事を、リーフが
代わりに声を出しているから。
全員は生きて帰れるなんて都合の良い事を考えるなと…死ぬ覚悟を決めろと……残酷な言葉が心臓を締め付けるが……その残酷な事すらも受け止められる者でなければ、
「お願い…優しい少年じゃなくて……英雄になって……アフレクションネクロマンサー様になって……」
アフレクションネクロマンサー様にはなれない。
リーフの思いの丈を聞いた礼人は一度、出来損ないの方に視線を向けると出来損ないの人魚は、突如として現れた新たな親鳥に警戒しているのか、雛鳥に伸ばしていた手を上げていた。




