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アフレクションネクロマンサー 序章  作者: 歩道 進
夢の中
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夢の中46

「ゆけっ!!」


硬直したまま、長い時間を掛けて出方を伺うのかと思ったが、二月は意外にも早く蝶を鋼鉄の巨人にけしかける。


蝶は二月の命令通りにゆったりと羽ばたき、ゆっくりと鋼鉄の巨人を中心にして旋回を始める。


その様子はまるで、大きな花に蜜を求めて飛ぶ蝶のようであり、それに対して鋼鉄の巨人は自分の体の中に内包する怨霊の蜜を守ろうと旋回に合わせて体をゆっくりと動かす。


蝶はゆっくりと羽を羽ばたかせ、鋼鉄の巨人は大きな足をのしのしと重く動かす。


その二つの対照的な動きから、次に動いたのは、


「ぐぉぉぉぉ!!!!」


鋼鉄の巨人の方であった。


鋼鉄の巨人は声を上げると片手と片膝を付いてラグビー選手がタックルをするような姿勢を取る。


質量で言えば結局は鋼鉄の巨人の方が大きく、その分も妖力が高く出力も上であろう。


力任せに突っ込むというのは一見、無謀なような気もするかもしれないが力はあくまでも鋼鉄の巨人の方が上なのである。


タックルの姿勢に入った鋼鉄の巨人はそのまま頭を深々と下げ、


「ぐぅぅ……ぐぉぉぉぉ!!!!」


一度低く唸ってから一呼吸おいてから、立ち上がって無造作に腕を振るう。


その動きは激しく、何が何でも蝶を潰してやろうと必死で、それはまるで自分にまとわりつく害虫を追い払おうと半狂乱になっているような人みたいで、


「ぐぉぉぉぉ!!」


「おもしろいんもじゃろう?力を制する柔らというものは」


鋼鉄の巨人は力の差で蝶を叩き潰そうとしていたかのように見えたが、実際は違った。


二月から放たれた蝶は鋼鉄の巨人の周りをゆっくりと旋回しながら、霊力の鱗粉を放出していた。


それは少しずつというものではない、蝶から放たれる霊力の鱗粉はボタ雪のように舞ってベタベタと鋼鉄の巨人に張り付くと、鋼鉄の巨人はそれを嫌がるように暴れ出す。

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