旅立ち254
「くっ……!!」
あの妖怪もどきが鉄騎兵を吸収するのが分かっていたら、無理をしてでも鉄騎兵を始末していた。
あのリュウグウノツカイは元からデカいくせに、目の前で数百の鉄騎兵を吸収してしまった。
怨念を使った強大な力を持つ兵器を作ろうとしたが、妖怪を作るまでには至れず、怨念を圧縮することも出来ず、図体をデカくすることで妖怪もどきを作り出したのだろうが、
「ややこしいモノを……」
あの中には、一体どれだけの怨念が詰められているのだろうか?
それにどうやって制御している?
これだけの怨霊を詰め込んでは命令等出来る訳が……
「……まさか」
これだけデカいモノなら、礼人はここに来るまでにその存在を感じる事が出来ただろうが、実際にはここまで近付かれるまでは、勘付くことが出来なかった。
この妖怪もどきは、鉄騎兵を吸収することが出来る……ならば、妖怪もどきの素体を近くまで運び、赤い空を吸収させ、成長させながらここまで誘導したのかもしれない。
そして、もう一つの「まさか」の意味。
こいつの役目は敵と戦うのではなく、敵を殲滅する事。
自軍の者が一切いない所へ、制御の出来無い兵器を解き放つ分には、どれだけ制御出来無くて強大な力を有していても構わない。
被害を被ってでも戦わないといけないのは、敵なのだから……




