旅立ち244
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遠い所から、指揮を執るビレー達からでも、この戦局が完全に我々の方に傾いているのを感じ、
「ビレー様!!我々も!!」
「仲間の敵討ちをしましょう!!」
積年の恨みを晴らしたいと周りが浮き足立つが、
「いや、このまま押し切れるなら、お任せしよう」
ビレーは冷めた視線で戦場を見る。
ビレーだってイの一番に前線に出て、歴戦の勇士ビレーとして敵兵を打ち滅ぼしたいがで、今のビレーは戦術指揮官として冷静な判断をしなければならない。
(お願いしますよ。アフレクションネクロマンサー様……)
一方的に攻め立てている状況に、伝令を特別に飛ばす必要は無いが、
(これだけで、我々はs済むのだろうか……)
ビレーは一抹の不安を感じていた。
元々、自分達が拠点から出立したのは、鉄騎兵が自分達の拠点を陥落させようと進行しているという情報を掴んだから。
戦闘を行っての進行の競り合いでは無く、領土を奪うという一歩進んでしまった状況。
(今回は、ただの進行から拠点の陥落を目的にしているかもしれない……)
いつもと少し違う状況、考え過ぎかもしれにと思いながらも、ビレーは前線で戦っている礼人達から視線を外して後ろを振り向き、もしかしたら敗走者を狩って処理する部隊と、拠点を攻める部隊で別れているのではないのか?
だとしたら、こんな所でアフレクションネクロマンサー様に戦って貰うのではなく、大局で考えれば、我々を置いて真っ先に、息子達が拠点に向かって貰うべきなのではと悩みが思い浮かんできたが、
「ビレー様?」
「……早く拠点に帰りたいものだな」
「はい!!」
こっちは敗走していて、アフレクションネクロマンサー様の存在は予想していなかったはず。
わざわざ部隊を分けるよりも、敗走処理をしながら、そのまま拠点に向かって突き進み方が話は早いのだから……
(考え過ぎだ……)
嫌な予感はしても賽は投げられたのだ、この先は少しでも良い目が出る事を祈るしかない。




