旅立ち241
その光景を見れば、この戦いに勝利出来るのではという気持ちが、敗北してしまうのではという思いを上回るのは当たり前で、
「アフレクションネクロマンサー様が戦いやすいように、周りは我々が抑えるぞ!!」
自分達の役目は、アフレクションネクロマンサー様が戦いやすいようにする事、その為にならこの身を捧げる覚悟で、
「キサマの相手はこっちだ!!」
『バゴッ!!』
アフレクションネクロマンサー様を囲もうとしていた鉄騎兵を殴り付けると、
『グッ…ゴォォ……』
「な…なんだ……」
オークの一撃を喰らった鉄騎兵は、拳の衝撃に耐えられなかったのか、一歩二歩と後退りをしてバランスを崩し、バランスを崩した体制を戻すこと叶わずに、そのまま後ろに倒れて尻もちを付いた。
たまたま、そんなにも当たり所が良かったのかと戸惑ってしまうが、
『バガンッ!!』
『ゴッ…ゴゴ……』
自分のすぐ横で、鉄騎兵を殴った音が聞こえると、まるで自分がした事を再現しているかのように、隣の鉄騎兵も後ろに倒れた。
鉄騎兵の様子がおかしい。
いつもなら、いくら殴ろうが蹴り飛ばそうが、痛みなど感じずに前に前に攻めて来て、殴られた分以上に殴り、蹴られた以上に蹴り返そうとするのに、
『ウグッ……』
自分達が殴り飛ばした鉄騎兵は大地にうずくまって……
「殴り飛ばした……?」
鉄騎兵を殴り飛ばした自分の籠手が、脳裏に浮かび、
「あれは、鼓舞するための言葉じゃなかったのかた……」
アフレクションネクロマンサー様に不思議な力があるのは、貴族に対して見せた銀の羽と矢、穢れたマナを清らかにしてくれていた件で分かってはいた。




