旅立ち238
『ヒュゥゥボォォオオオ!!!!』
放たれた翡翠の矢は、自らの空気を裂く音を掻き消すほどの、けたたましい音を鳴らしながら鉄騎兵達の群れ中へと突っ込むと、
『『『ボヒュ!!』』』
三体の鉄騎兵が、翡翠の光と衝突して消滅する。
そこには一切の抵抗も無く、氷が熱で溶かされたかのように鉄騎兵は上半身を溶かして、その場で倒れ込んだ。
「向かって良いですか!?」
礼人の放った一撃は、一度に三体の鉄騎兵を葬り去り、その光景にオーク達の興奮は最高潮に達して、立ち向かうとするが、
「えっ……待って下さい!!もう一射します!!」
それとは反対に、礼人は目の前で起きた事に半信半疑になって、もう一度、弓を構えて矢を放つと、
『ヒュゥゥボォォオオオ!!!!』
『『『ボヒュ!!』』』
もう一度放たれた翡翠の矢は、先程と違う事無く、三体の鉄騎兵が溶けて消滅する。
この二射目で礼人の、一射目の不安は完全に払拭された。
「皆さん聞いて下さい!!あの鉄騎兵は、大したことはありません!!」
「おお!!」
これは戦う前の鼓舞では無い、事実なのだ。
目の前にいる鉄騎兵は、初めて遭遇したサイクロプスのような鋼鉄の巨人より劣り、拠点の中で対峙した鉄騎兵よりも柔い。




