旅立ち236
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「鉄騎兵を完全に手玉に取るとはな……」
「はい!!前線の士気はの高さは、ここからでも確認出来ます!!」
ビレーは貴族の乗り捨てた籠を集めさせ、簡易的な高台を作らせて、その上に登っていた。
日が昇り、赤い世界が一層爛々と地上を赤らめさせた時。
遂に、生きている者を地獄の底へと連れ込む鉄騎兵達が姿を現した。
軍隊アリのように大地を悠然と闊歩し、軍隊アリのような一つ一つの存在が死神として向かって来ていた。
アフレクションネクロマンサー様率いる前線の部隊が、その死神に対して咆哮を上げて突撃した時に、戦いの火蓋が切られて、
「さすがアフレクションネクロマンサー様だ!!」
「鉄騎兵達が敵になっていない!!」
遠目から、リーフが率いる部隊がサンダーウェーブを撃ち続けて鉄騎兵が進行してこないように、頑張っているのも分かるし、そのお陰で前線部隊も有利な状況で戦えているのだろうが、
「前線が鉄騎兵を押し込んでいるぞ!!」
そう、前線部隊だけで鉄騎兵を押し込んでいると言っても、過言では無かった。
彼が一動作一動作するごとに鉄騎兵は翻弄されて、それに合わせてアフレクションネクロマンサー様に加護が与えられ籠手で、オーク達も鉄騎兵を討つ。
離れた所にいるビレー達ですら、アフレクションネクロマンサー様達の快進撃に、気持ちを高ぶらせて高揚してしまい、
(年甲斐も無く。あの場に行って拳を振るいたいと思ってしまっている)
上に立つ者として、冷静に戦局を見極めなけばならなく、そういう風にリーフに教えていたにも関わらず、沢山の仲間達を殺された敵討ちを、自らの手で行いたいと願って、拳を強く握り締める。




