旅立ち232
「リーフさんの気持ちは痛い程に分かります……でも、みんなの指揮を執るのは、生き残るために力を合わせる事なんです」
「力を合わせる事……」
リーフの呟いた言葉に、礼人は頷き、
「自分が指揮を執ったら誰かを死なせると思わないで、生き残るための希望を見失わないように、君が希望を見続ける役目をするんだ」
「それをすれば……」
「そう。希望を見失ったら多くの仲間が絶望に溺れて死にます。リーフさんの希望の光で、みんな生き残ろうと頑張れるんです」
礼人の言葉に納得したのか、リーフは『コクリ』っと頷き、
「…よしっ!!全員配置に付け!!」
「「はいっ!!」」
ビレーの指揮の下、各々の配置へと向かうのであった。
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「ふぅ……」
「お加減が悪いのですか?」
「いえ、気分が高まっているだけですよ」
段々と赤く濃く染まる空を見上げて、礼人は戦場が近付ているのを感じている。
先遣隊が調査してくれた妖怪退治等とは違う感覚は、
(あの時と一緒か……)
何も知らない、何も分からない恐怖の中で冬山の中を進行した事を思い出して、体が震えあがるが、恐怖では無い。
あの時の無力な自分から授かったものがある……授かったものを、無駄にしないように鍛錬を積んだ……この戦いは…あの時の出来事を塗り潰す為の戦い。
『『ヒューーー!!』』
「アフレクションネクロマンサー様!!」
赤い空へと上がった黄色いと青の二筋の光、それは先に、鉄騎兵の進行を伝令させるための放った部隊からの合図。
「霊装隊!!準備!!」
「はい!!」
(流れは来ているのか……)
空に上がった敵の進行を伝える光と同時に、大体で良いから、色で相手がどれだけの数が進行して来ているのか、知らせと欲しいと伝えていた。




