旅立ち229
「……さっ、戻りましょう!!明日の事を考えたら、寝ておかないと」
「んっ…きっと、生き残れますよね」
「きっとね」
これ以上、二人で話をしても満足出来る答えは出せないと悟ると、二人は「生き残る」それだけを約束して、その場を後にして籠の方へと戻っていく。
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朝日が昇る。
世界が暗い闇から赤く、赤く染まり上がる時間。
「ビレー隊長。本当にアフレクションネクロマンサー様に、前線に出て一兵士として戦って頂いてよろしいのですか?」
「うむ……」
「えぇ、これが一番良い方法だと思うんです」
「本当に、よろしいのですね?」
「この中で、一番に鉄騎兵に対抗出来るのは自分です。全体の指揮を執るのはビレー隊長。前線の部隊長はリーフさん。戦いで頭を張る私が指揮を執る訳にはいかない以上、この布陣しか選択は無いはずです」
これが、決まった話。
一度は退役したとはいえ、年齢の問題で退役した歴戦の勇士であるビレーが全体の指揮を執るのは適材適所。
そして、鉄騎兵の中身が怨霊である事は明確であるから、礼人が先陣を切って戦えば、多少は生存率が上がる。
この布陣は、現状で出来る最大限の対応なのだが、
「あの…私が、前線の部隊を取り仕切るより、他の人にお願いした方が……」
リーフだけは、自分の役回りに不安を抱いていた。




