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旅立ち226
「ごめんなさい…失礼をしちゃいましたね」
「いえ、私も変な事を聞いてごめんなさい」
話をしたいだけだった相手に仕事柄を出してしまった事を謝ると、リーフは微笑んで返してくれる。
「それで…何か聞きたいことが?」
彼女の笑顔と、自分の失礼に対する思いから先程とは打って変わって、朗らかな優しい表情をする。
今なら、さっきの質問をしても、礼人は優しく答えてくれるだろう。
ここまでに朗らかになっている礼人に、リーフが話したかった事は、
「……いざとなったら、私達を見捨てて逃げて下さい」
「見捨てますよ。私だって命は惜しい……」
「ウソです。アフレクションネクロマンサー様は最後の最後まで戦って逃げよとした時には、逃げ切れなくなって死んでしまいます……」
「なんで、そう思うんですか?」
「母がそうだったからです」
最初に、冷徹に言った言葉の通りに、いざっとなったら逃げて欲しという事であった。
予想していなかった話に、朗らかだった表情は曇り、
「少し…聞いても良い話ですか?」
「…うん」
彼女にとって大切な話で、これから彼女の事を知るにも大切な話になるだろう。




