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旅立ち223
自分がした事で喜んでくれるのは嬉しいが、それに付けこむようマネは……
「そんなに卑下するものではない!!」
「っ!?」
自分の心を見透かしたかのような、ビレーの一言に礼人はビクッと体を震わせ、
「私は君の事を知らない。前いた所ではどのような立場だったかは分からない…が、君がした事は間違い無く、みんなに安らぎを与え。苦しみしか味えなかったはずなのに、安らぐ時間を貰えた事が嬉しくて堪らないんだ……もっと自分のした事で、みんなが感謝している事を受け入れるんだ」
「……」
みんなが感謝している事を受け入れる……妖怪や悪霊を退治していた時には、考えたことは無かった。
闇に紛れて、闇から産まれた存在を無に還す霊能者。
仲間内で称え合う事はあっても、決して世間一般から称賛される事は無い存在。
自分達が守った世界が平和であることが、霊能者の誉れ。
遠くから世界を眺め、平和に流れる時を幸せと感じていたからこそ、こうやって自分を名指しで褒め称えられるのに、違和感を感じたのかもしれない。




