旅立ち220
彼等が怪訝な顔をして説明を求めるのは無理も無い話で、説明を求められた穢れたマナ、この穢れたマナがエルフ達を苦しめた。
ここ数年、マナがおかしい事は分かっていた。
赤い空が広がる所でマナを吸収すると体が赤みを浴びて変色し、夢の中で赤くてねっとりとしたモノが這いずり回る変な夢を見るようになる。
夢の中にも関わらず、それに連れて行かれてはいけないと必死になって身を隠し、見付かれば必死になって捕まらないように逃げる。
この夢を見るようになった時の治療法は、赤い空から離れて穢れたマナを吸わない事。
しかし、赤い空が広がる戦場では、この赤いマナを体に取り込まなければ体の中で魔法を形成することは出来ないし、マナを吸収しなければ生きられない。
その結果は、どうなるかはリーフが見せてくれている。
あの時、礼人が祓っていなければ、リーフは間違い無く赤いモノに取り込まれて、自分自身が赤いモノになっていた。
そんな、自分達の体を追い詰めるだけの赤いマナを集めた所で……
「皆さん、これが私に出来る事です」
礼人はみんなの不安そうな顔を意に介する事無く、霊力を高めて赤く穢れたマナに手を向けると、
「なっ…!?」
「おぉ…!!」
赤いマナが白銀の光に包まれたかと思った時には、赤いモノが煙となってその場から逃げ出すと、そこに取り残されたのは、
「私には、あの赤いモノと直接、戦う事が出来るんです」
赤いモノが取り除かれた、シルクの様に美しい光沢を放つマナであった。




