旅立ち217
そして、その差異は、
(拠点で見た鉄騎兵なら、一人でも数体は相手が出来る)
か細いながらも希望を抱かせる。
万全の状態の礼人の力なら、拠点の中にいた鉄騎兵を抹殺するのは、造作も無い事だが、
(後は、数と周りの人達だな……)
自分一人なら、いくらでも何ともしようがあるが、これが周りの人達を守りながらだと話が変わってくる。
一人なら好きなだけ暴れて、霊力とマナが尽きそうになったら、とんずらすれば良いが、それで何が解決するというのだろうか?
追って来ている鉄騎兵が10体程度なら、喜んで一人で相手もする。
だが実際は、大挙で押し寄せた軍隊を押し退けた数……そう考えれば鉄騎兵は数千はいたと、どんぶり勘定しても構わないだろう。
そこから良い方向に考えれば、争いで鉄騎兵の数も減り、敗戦の処理の為だけに全ての鉄騎兵を向かわせていないかもしれない。
けれど、悪い方向に考えれば、鉄騎兵は無尽蔵の体力、全ての鉄騎兵を向かわせたとしても問題は無いのかもしれない。
どっちに転ぶかも、どこに転ぶかも分からない「かもしれない」に、
(本当に…自分が判断して良いのか……)
いつも的確に、迷わずに判断を付けていた二人が、こんな重圧を押し退けていたのかと知ると、
「じいちゃん…アニーさん……」
全てをビレーさんに任せるべきでは無いのかという弱音が、二人の名前となって口から漏れてしまい、
「アフレクションネクロマンサー様?」
その漏れた弱気に、リーフが不思議そうに顔を向けて来る。




