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旅立ち211
傲慢なエルフの話を合わせたのは媚びを売る為ではないのは、話から分かる通りで、
「鉄騎兵はもう目と鼻の先まで来ていますから、ここは間も無く戦場になるでしょう」
「だから逃げるんだよ!!」
「えぇ、逃げて下さい。我々は殿を務めますので…それも我々の務めでしょ?」
「なっ…!?」
相手の揚げ足を取る為。
礼人の言葉はエルフの足を捉え、鉄騎兵が近付いて来ているという嘘が、
「ぐっ…くくっ!!」
「おいっ…どうする」
エルフ達の足元をぐらつかせる。
「選んで下さい。オークに籠を運ばせて、鉄騎兵に追い付かれて戦場に巻き込まれるのと、オーク達を犠牲にして、自分達の足で逃げおおせるのと、どちらが良いか……決めて下さい」
足を取られて、意志という大地がぐらついては踏ん張りが効くはずも無く。
「……我々は、この足が汚れようとも、生きて本国に帰らねばならない立場なのだ!!」
「そうです。後の事は私にお任せ下さい」
それは精一杯、見栄を張ったつもりなのだろうが、たかが歩く事に見栄を張られては、笑わないように我慢するのに、こっちも精一杯になってしまう。




