旅立ち209
エルフは、どんないたぶっても抵抗してこない、危険の無いリーフに迫って詰問しようとしたが、
「私は鉄騎兵と戦ったと言ったでしょ?死んだ人の魂を悪用する奴等を許せなくてね」
リーフの方に向けられていた言葉の矛先を捕まえると、自分の方に切っ先を向けさせ、
「鉄騎兵との戦いで怪我をして助けて貰ったら、貴方達も鉄騎兵と戦っているというじゃないですか。だから、貴方達に協力したくて連れて来て貰ったんですよ」
「だったら、その態度は何だ!?」
「お分かり頂けませんか?」
エルフは礼人の方に向いた言葉の切っ先を突き刺そうとするが、礼人はそれをヒラリと躱し、
「敵はもうすぐ近くまで来ているのに、こんな所で地団駄を踏んでいて良いのでしょうかね?」
「なんだと!?」
「目と鼻の先まで来ているというのに、アナタ達が内輪もめをしているから見かねて、止めただけですよ」
躱した切っ先をエルフの喉に突き付ける。
もちろんその話は嘘だ。
礼人達は、敵と会わないように迂回して来たのだから、敵と途中で出会うはずが無いのだが、
「鉄騎兵が近くまで来ているのか!?」
「早く籠を走らせろ!!」
ゴムの様に柔らかい嘘の切っ先を見極める事の出来ないエルフ達は、慌てふためきながら、籠を運ぶオークを走らせようとするが、
「そんなに疲弊しているオーク達で走らせた籠で、鉄騎兵から逃げられると?」
「なに!?」
礼人に言われて振り返ったオーク達の額には大粒の汗が流れ、疲れから大きな体が小動物のように震えている。




